がんインフォメーション

 

がん医療の質向上をめざして

 

がんは、今や我が国において2人に1人が侵される「国民病」といわれています。がん医療は日々進化しており、手術療法、抗がん剤治療、放射線治療、緩和医療を軸に、近年、高度に専門化してまいりました。質の高いがん医療を提供するためには、適切にかつ安全に医療が行われているかをつねに検証し、改善していくことがとても大切です。

そこで、名古屋記念病院では、2014年7月に「がん医療の質向上に関する基本方針」を定め、「がん医療の質向上委員会」を設置しました。がん医療に関わるすべての問題を対象にして、Plan(計画)- Do(実行)- Check(評価)- Action(改善):(PDCA) サイクルを繰り返すことにより、継続的に医療の質改善を図る取り組みを開始いたしました。

がん医療を担当する各診療科医師・スタッフをはじめ、緩和ケアチーム、化学療法チーム、がん相談支援センターなどが共同して、病院横断的にがん医療の質改善に努めてまいります。と同時に、当院だけの取り組みだけにとどまらず、がん診療連携拠点病院をはじめとする愛知県内のがん専門病院で、お互いにチェックし合う体制を整備して、がん医療のさらなる質向上をめざします。

 

がん医療の質向上委員会 委員長 日比 聡(薬剤部主任)
がん診療センター長 粥川 哲(副院長)

 

 

名古屋記念病院 がん医療の質向上に関する基本方針

  1. 目的
     がん医療の質を向上させるために、効果的な安全活動を推進するとともに、がん治療成績の向上を図り、
     継続的な改善活動に取り組むことを目的とする。
  2. 適応範囲
     名古屋記念病院内のすべてのがん医療に関する問題に適応する。
  3. がん医療を適切に行うための組織
     名古屋記念病院長は、以下の委員会および担当者、チームを設け、組織的ながん医療の質向上に努める。
     ・がん医療の質向上委員会
     ・がん診療センター長
     ・化学療法チーム
     ・緩和ケアチーム
     ・がん相談支援センター
     ・キャンサーボード
    第2項 すべての職員および各部署は、日常的にがん医療の質向上につとめ、組織的な活動に協力する
    こととする。
  4. 取り組み方法
    リスクアセスメントを行い、リスクの低減を積極的に実行する。
    (1)Plan(計画)- Do(実行)- Check(評価)- Action(改善):(PDCA)サイクルを繰り返すこと
     により、継続的な改善を図る。
    (2)がん医療全般に関する安全活動を認識し、コミュニケーションを図りながら遂行する。
  5. ほかの組織との連携
    がん医療を安全に行い、継続的な改善を図るために、院内のほかの委員会等の組織と適切な連絡、調整、
    報告を行うこととする。さらに院外の関係機関とも連絡、相談、報告を行う。
  6. 制定と改廃
    この基本方針は、がん診療センター長が作成し、幹部会で審査し、管理会議の承認を得た上で制定する。
    なお改廃についても同様とする。
  7. この基本方針は、2014年7月1日に実施する。

医科歯科連携について

医科と歯科が連携して、がん患者の口腔機能管理を実施することにより、「手術」を行う場合のトラブルや誤嚥性肺炎・感染症の予防と「抗がん剤治療・放射線照射」を行う場合の口腔粘膜炎や口腔内感染症に対する支持療法を行い、がん患者のQOL向上をめざすものです。平成24年度から、診療報酬に周術期口腔機能管理が新設され、保険適用となり、国をあげてがん患者の口腔機能管理に取り組むことになりました。

 

院内歯科を有していない当院では、口腔管理プロジェクトを立ち上げて毎月1回のミーテイングを行い、平成25年4月には天白区歯科医師会のご協力を得て、地域に密着したがん患者の口腔機能管理に対する取り組みを開始いたしました。その結果、平成27年10月現在、計139の歯科医院と連携を行っています(表1)。また「東名古屋がん医療・口腔ケアセミナー」を愛知国際病院、緑市民病院と一緒に開催し、歯科医師の方々とともに医療情報の共有と研鑽に努めております(図1)。そして本セミナーに3回以上、ご参加いただきました歯科医院の代表者に、名古屋記念病院から感謝の気持ちを込めて認定登録証を発行させていただきました。今回、その中で、承諾が得られました歯科医院名をホームページで公開させていただきます。この場をお借りして、天白区、名東区、緑区、愛豊(日進市、東郷町、豊明市)の各地区歯科医師会のみなさまのがん医療に対するご理解とご協力に篤くお礼申し上げます。
医療の質を向上させるために、当院では、診療体制の整備にひきつづき努力して参りますので、地域のみなさまには倍旧の支援とご指導をよろしくお願いいたします。

 

がん薬物療法専門医 粥川 哲(副院長)